
武田信玄の棒道
逍遙之記①
山梨県北杜市周辺
2020年11月20日
棒道(ぼうみち)は、戦国の頃に武田信玄が甲斐と信濃の国境に作らせたと伝わるまっすぐな道である。
この道は、上中下の3本の筋があったらしく、上棒道の一部が現在に残っている。上棒道は、甲州街道を穴山で分かれ、若神子、小荒間を通り、大門峠を経て善光寺平に抜けるとされるもので、山梨県北杜市の小荒間・小淵沢あたりに往時の面影を残している。
棒道といえば、1988年の大河ドラマ「武田信玄」のOPに出てくる割と広いまっすぐな平らな道をイメージしていたが、実際歩いてみると結構アップダウンがあり、自然石が散乱している。
この地への案内としては、山梨県北杜市観光協会小淵沢支部発行「八ヶ岳信玄棒道ウォーキングマップ」がとても詳しい。このマップによると小海線甲斐小泉駅から棒道を通って小淵沢駅に向かう8.5km、3時間のウォーキングの行程が書かれている。
しかしながら小海線は本数が少ない為、甲斐小泉に行く汽車は2時間待ちとの事。
今日は、ウォーキングマップの推奨ルートを小淵沢駅から甲斐小泉駅まで逆打ちしてみることにしよう。

↑小淵沢駅から甲斐駒ヶ岳を眺めて(12:09)
見事の秋晴れだね。
遠くに見えるあの三角の白い山は、「南アルプスの天然水」でもおなじみの甲斐駒ヶ岳である。
高校時代の夏山合宿は南アルプス。北岳~間ノ岳から仙丈ケ岳~甲斐駒ヶ岳と縦走する予定であったが、間ノ岳から仙丈ケ岳に向かう「仙塩尾根(通称:馬鹿尾根)」でバテてしまい、尾根下の両俣小屋でギブアップしてしまった。
両俣小屋から野呂川沿いの林道を北沢峠まで進んで、そこで時間の都合上、仙丈ケ岳と甲斐駒ヶ岳のどちらか一方にしか行けないとの選択肢を迫られる。私は、どうしても甲斐駒ヶ岳に行きたかったのだが、多数決で仙丈ケ岳に決まってしまった。この時は悔しくて「いつか甲斐駒に行くぞ」と誓ったのだが、社会人になってから大学時代のメンバーと韮崎に一泊し、黒戸尾根を経由して何年か越しに甲斐駒ヶ岳の山頂に到達する事が出来たのはよい思い出である。

↑農業構造改善事業竣工記念碑前(12:19)
小淵沢駅を出る事10分。とある石碑が見えてきた。
1970年(昭和45年)7月15日に建てられたもので、当時の山梨県知事・田邊圀男の名前が見える。
圃場の形状が著しく不整形であった当該地域の土地を改良した記念との事であるそうだ。

↑小海線の踏切を渡る(12:24)

↑道の駅こぶちざわ(12:35)

↑県道11号線を北上する(12:39)
この辺りで標高が1000mを越えた。右側の側道は、なんと乗馬専用の道らしい。

↑公民館前(12:50)

↑火の見櫓跡(13:01)
小淵沢駅を出ることおよそ50分。距離にして4.4km。
ついに「棒道」が見えてきた。小淵沢カントリークラブのフェンスに沿って棒道が続いている。

↑堰堤(13:07)

↑まっすぐな棒道を歩く

↑十六番「千手観音坐像」(13:08)
ウォーキングマップには、棒道に残る「六観音」についての記述がある。
年代については、江戸時代末期との事で、この地域の棒道沿いに1丁おきに30数基の観音像が設置されたという。


↑十一番「聖観音立像」(13:16)

↑女取川合流地点(13:27)
白樺別荘地の裏手を通り、砂防ダムを越えると女取川が左手から合流する。

↑女取川湧水分岐(13:31)
「女取湧水」への分岐。ウォーキングマップによるとチャレンジコース40分との記載がある。
今回は時間がないのでまたの機会にしよう。

↑棒道説明板(13:40)

↑名水百選「三分一湧水」(13:47)
さて、ここで遅めの昼食にしようか。

↑小淵沢の名物駅弁「元気甲斐」
小淵沢駅の駅弁調整元「丸政」の名物駅弁「元気甲斐」は、1985年(昭和60年)にテレビ朝日「探検レストラン」の企画で誕生。
経木折詰の二段重ねで、京都と東京の人気料亭が知恵を絞った東西の味比べが楽しめるのが売りとの事。

↑下段の二の重は京風
・栗としめじのおこわ(銀杏・蓮根入り)
・鶏の柚子味噌あえ
・わかさぎの南蛮漬け
・山牛蒡の味噌漬け
・アスパラの豚肉巻
・沢庵

↑屋根がかわいらしい甲斐小泉駅に到着(14:08)
小淵沢駅を出ることジャスト2時間。甲斐小泉駅に到着。
昼食の時間を考慮しても標準タイムより1時間も早く着くことができた。

まずは百聞は一見に如かずという事で念願の「棒道」を歩いてみたが、大きな発見が多々あった。
「棒道」についての机上調査編は追って記載する事にしたい。
つづく
更新日:2021.9.14
【参考文献】
・北杜市観光協会小淵沢支部発行『八ヶ岳信玄棒道ウォーキングマップ』(株式会社地域設計、2020年)